山下裕二監修の『超絶技巧美術館』(美術出版社)が届いていました。

takuzemi2013-12-30

 昨日川越を散歩して帰宅したら、先日アマゾンに注文しておいた山下裕二監修の『超絶技巧美術館』(美術出版社)が届いていました。さっそく起き抜けの時間から、居間のロッキングチェアの上に座って読んでみました。全体は3部に別れていて第1部が「鑑賞編」、第2部が「技巧編」となっていて、インタヴューで超絶技巧の作品が生まれる経緯が分かりやすく描かれていて興味を引きます。第3部は「歴史編」で監修者の山下さんがさまざまな作家にインタヴューを問い掛けて楽しめます。先ずは「鑑賞編」の第一番バッターの池田学氏です。「予兆」と題された作品は異様に細かい描き込みで成り立っています。「Meltdown」とんう作品も同様な手法で得体の知れない機械のような物体が描かれています。二番手の安藤安子さんは身近な世界を描いているのですが、細かな描き込みが凄いとしか言いようもありません。次の山口英紀さんは絹に水墨を使って描いていると言うことで、超絶技巧という言葉がぴったりするような作風でした。続く会田誠さんの「滝の絵」はロリコン趣味なのでしょうか。画面には滝の中で戯れている39名の女子高生が描かれていて、その中の2名のみはセーラー服姿です。右下の女の子のポーズは山下さんの解説にもある通りにミレーの「オフィーリア」を引用したものなのでしょう。全部を紹介しきれないのが残念ですが、アイアン澤田さんの生(いき)人形も驚きました。美少女のフィギュアなんですが、その中身には骨格があるとのこと。そこにダミーを制作し、最後はウレタン樹脂を用いて造形するとのこと。どの作家もストイックな修行僧の一面を垣間見せるのです。私に取っては今まで読んだことのない美術の本でした。