小森さんは村上作品の中に書き込まれた女性嫌悪と歴史の否認についても鋭い目を向けます。カフカ少年が佐伯さんを犯し、さくらさんを犯す場面はいずれも夢の中での出来事として描かれています。想像の中では倫理を問われないと、想像を職業とする作家が無前…

昨夜は少しばかり夜更かしをして、村上春樹さんの『海辺のカフカ』（新潮文庫）を読了しました。娯楽作品としては大変に面白い傑作だと思います。けれども、クライマックスで主人公が変身をする場面もなければ、結末で読者が感じるカタルシスもありません。…