「新日曜美術館 伝説の版画家・菊池伶司」

takuzemi2007-05-28

夜はNHKテレビの「新日曜美術館 伝説の版画家・菊池伶司・22歳の死・銅版に刻まれた過酷な生・・・」を見ました。60年代に上智大学に通っていた菊池に3年生の時に転機が訪れたとナレーションは語ります。大学の美術研究会に一台の版画のプレス機が寄付されたのです。これをきっかけに菊池は版画に没頭していくことになります。駒井哲郎や池田満寿夫が版画家として華々しく活躍していた頃のことです。自分の手を銅版に押しつけて制作した「Finger Sample」などの作品が印象的です。死を予期しつつ自分の肉体を銅版に刻印してやろうという意志が感じられます。作家でフランス文学者の堀江敏幸さんは菊池の作品と向き合ってきた方です。菊池の作品の言葉にならない部分を何とか言語化していこうとする堀江さんの解説に好感が持てました。菊池は大学3年生の3月に(卒業を間近にして)大学を中退してしまいます。制作に没頭するためです。誰にも読めない不思議な文字が銅版の中に現れます。「深刻になりすぎてるぞ。〜深刻になってもいいじゃないか?」・・・読めない文字の中にそんな自己の内部での対話が読み取れるのではないかと堀江さんは言います。1968年10月6日、尿毒症で没、22歳の死でした。以下は堀江さんの解説を聞きながらメモ風にまとめたものです。「菊池にとって夭折は関係ない。彼は自分の世界を作って死んだのだ。作品からは、現場の感覚が伝わってくる。どきどきする緊張感や、これからやっていけるのかという不安感が伝わってくる。22歳でないと分からない感覚が感じられるのだ。」
以下のサイトで菊池伶司の作品がご覧になれます。
Sophians Gallery 2002
http://www.sophiakai.gr.jp/sophiansgallery02/2002-1.html
以下のサイトで「菊池伶司とその時代」展の情報が得られます。
町田市立国際版画美術館 常設展示室
http://homepage3.nifty.com/silkroad-club/hangamuseum/silkhp04(2).htm