「『坊ちゃんの』世界を読む」と題してお話ししました。

 11時42分の東京行きで移動を開始しました。3限の文学が待っています。車中では幸い座席を確保できたので友人の岩佐倫太郎君から贈られた「イーディス・シットウェル詩集」を読みました。「黄金海岸の風習」には「私たちの死の原因だった悪疫のしるしを。信仰、悲嘆、愛、或いは不定形な虫のようにぐじゃぐじゃの罪の苦笑いを−−」と有ってなかなか難解です。南越谷で東武スカイツリーラインに乗り換えて北越谷で下車しました。同僚のY先生にお会いして挨拶を交わしておきました。大学には12時半に着きさっそくハンドアウトと出席調査票を配布しておきました。3限の「文学」では「『坊ちゃんの』世界を読む」と題してお話ししました。『坊ちゃん』の冒頭の一句は「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。」と有りアラゴンの「冒頭の一句」を参照して、冒頭の一句はロマネスクな世界への入り口だと紹介しました。漱石の文学は他の近代作家が切り落とした過去に深く根ざしていることを語りました。寄席趣味に象徴されるような感覚足す儒教的な正邪曲直の感覚ですね。正宗白鳥の『坊ちゃん』評価も語りました。「型の如き人間ばかりが登場する「通俗小説」で「卑近な正義観」を振り回しているだけと正宗白鳥は断定しています。『坊ちゃん』とは、あたかも人語を語る猫と同様に、現実には存在しない原理に寄って生きている人物だと考えられると言うことも解説しました。『坊ちゃん』DVDを見てみました。モンキー・パンチがキャラクターデザインをしたもので、学生諸君も熱心に見てくれて良かったですね。帰りは浦和に寄って楽風でコーヒーを飲みました。4限の文学5ではフラン語で『星の王子さま』を原書で読もうと思ったのですが、前回出てくれた女子学生も居なくて、がっかりしたものでした。楽風の二階に上がるとパステル画の展覧会が衣山史の展覧会が開かれていて「しんとして」「ころがる」「さびしい猫」「春愁」などの作品が有りました。調神社に賽銭を入れて柏手を打っておきました。何故か狛犬ではなく兎が御神体なのが不思議でした。別所沼を通って徒歩で帰宅しました。