山種美術館で「松園と華麗なる女性画家たち」を観賞しました。

 午後は12時1分の快速新木場行きで移動を開始しました。車中では幸い座席を確保できたので三好行雄編の『漱石書簡集』(岩波文庫)を読みました。久米正雄芥川龍之介あての手紙に「僕はあいかわらず『明暗』を午前中書いています。心持ちは苦痛、快楽、器械的、この三つをかねています。同じ二人にあてた手紙には「牛になることはとうしても必要です。牛になることはどうしても必要です。われわれはとかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなりきれないようです。」と有りました。恵比寿で下車して西口に向います。山種美術館で「松園と華麗なる女性画家たち」を観賞しました。1,200円のチケットを買って、地下の会場に降りると、上村松園の「新蛍」が有り団扇で涼をとりながら蛍に眼をとめる女性が描かれていて、なかなかの美人でした。村松松園の「蛍」は青い和服を着た女性が、蛍を見つめている画面です。同じ作者の「夕べ」は簾の中に居る美女の画面で団扇も持っていて涼を取っているらしいと思いました。同じ作者の「春芳」は鶯色の着物を着た女性が梅の花を見つめている画面で春らしい雰囲気を醸し出しています。上松松園の「娘」は娘が裁縫の糸に針を通す様を描いたもので、集中している姿で、パネルに寄ると松園は、針に糸を通そうとする母の姿を見て「この上なくひとすじに真剣な、あらたかなものに想われた」と呟いたそうです。伊藤小波の「花下遊宴之図」は踊りを踊っている女性を描いたもので、外には桜が咲いていて、三味線を弾いている女性も見え三味線の音が聞こえてくるような気がしたものでした。片岡珠子の「展龍寺開山夢窓国師」が有り、パネルに寄ると片岡珠子の言葉が有り、「だれにも影響されないというのが私の生き方です。とにかく人のまねをするのが大きらいなブキヨウな人間です。」と有りました。和服を着た女性も数多く見えて、流石は山種美術館だと思ったことでした。