河川敷まで辿り着くと紋白蝶が群れをなして舞っています。

takuzemi2013-05-24

 風薫る五月とでも言うのでしょうか。マンションの19階から降りて駅前広場に出ると吹き来る風の美味しさに感動させられます。フランス語ならla belle saison(美しい季節)と言うところでしょうか。武蔵野線の車窓からの樹々の緑も色濃く感じられます。北越谷で下車して元荒川の河川敷まで辿り着くと紋白蝶が群れをなして舞っています。本当に美しい季節が過ぎていくのだなあと思ってしまいます。
 今日は金曜日で一週間の最後の日です。英語の準備室に行って火曜日から金曜日までの出席の印鑑を押しておきました。火曜日の演劇論ではシェイクスピアの四大悲劇に付いて語ったのと、木曜日の文学では夏目漱石の『それから』に付いて語ったのが印象に残っています。ハンドアウト三浦雅士著『漱石 母に愛されなかった子』(岩波新書)の抜き書きを利用して作ったものです。この岩波新書も大変に面白いものなので学生諸君にぜひ読んでみるように勧めておきました。文学の授業では残りの30分ほどを利用して森田芳光監督、松田優作藤谷美和子共演の『それから』を観ておきました。脚本を担当している筒井ともみさんが「イノセントでピュアだ」と形容している藤谷美和子演じる美千代のクライマックスの場面が印象的でした。学生諸君も食い入るようにスクリーンに見入っていました。

最後に書見台の歴史に付いてのDVDを観ました。

 2限の時間帯には相棒のFさんとの「ランボー読書会」を楽しみました。今日もランボー研究者ブリュネルのテクストを一行ずつ訳していきました。A3の用紙に拡大コピーしたテクストに電子辞書で単語を引いては赤ペンで書き込んでいきます。今日はかなり集中した読書会の時間が過ごせました。90分の時間があっと言う間に過ぎてしまいました。
 大学図書館の司書のKさんから夏休みの間に学生諸君に勧めたい本を紹介して欲しいというメールが来ました。そこで選んでみたのがC.S.ルイスの『ナルニア国ものがたり』とル・グィンの『ゲド戦記』です。大学図書館に移動して合計13冊のISBNを調べておきました。図書館で一時間ほど作業してキャンパスに戻ったら入学課の職員のKさんとUさんが高校生たちの群れを二手に別れて案内していました。
 5限の3年ゼミではマリーズ・ブリュモンの『『星の王子さま』を学ぶ人のために』を輪読しました。語り手のパイロットと王子の関係を父子関係のメタファーとして読み解くこと、時にはその関係が逆転することもあること、このテクストが成長小説としての構造を持っていることなどを学びました。またテクストの中に死の恐怖が書き込まれていることも忘れてはなりません。最後に書見台の歴史に付いてのDVDを観ました。西欧人に取っては書物に書き込みをしながら読むという体験をずっと続けてきたのだという事実を知りました。