二限目で居眠りするも朝寝かな

F君は文教の卒業生です。在学中には良く私の研究室に立ち寄ってくれたものです。卒業してからも時々、メールを送ってくれます。そのF君の趣味が、詩や俳句を作ることなのです。自作の詩が産経新聞の一面に掲載されたこともあります。朝日新聞の俳句欄にも良く採用されます。先日もこんなメールをいただきました。

「おはようございます。ご無沙汰しております。
5月28日(月)の朝日俳壇に入選いたしました。
ご報告申し上げます。

第4席 金子兜太

二限目で居眠りするも朝寝かな  深井克彦

(評)ウィットの小気味よく効いた句。
それでは失礼いたします。」

私の愛読している加島祥造さんの本の中に次のような言葉があります。
「自分の好きなことをする−−これはエゴセントリック(自己中心)の行為ではない、と私は思うのです。人がほんとに深くから面白がってするとき、それは自分のなかの潜在的能力に動かされています。目先の利害損得からではない。また、それは、学校や社会がその人に刷りこむ競争心や義務や責任からでもない。競争心から出るのではないのだから、他人をおし除けるものではない。ひとりで好きな時にする。それは自分のなかの潜在能力によることです。そのせいか、必ず楽しい。ハッピーな気持ちになる。ハッピーな心でしたものは他の人の心を喜ばせるものになる。本当の芸術とは、根底にはそういう働きのあるものなのでしょう。」(加島祥造老子までの道−六十歳からの自己発見』(朝日文庫)p.121.-p.122.より引用しました。)