漱石論の抜き書きの作業を続けています。

takuzemi2007-08-19

暑さがまたぶり返しました。朝は居間の食卓に向かって柄谷行人氏の『漱石論集成』(平凡社)の抜き書きを作りました。漱石の「文」の独自性を論じている部分を中心にキーワードやキーフレーズを書き抜いていきます。年代物の動きが遅いデスクトップを起動するのが面倒です。これも年代物のZaurus SLC−860のメモ画面を使って本の要点を抜き書きしていきます。一時間ほど作業していたらさすがに指が痛くなってきました。コンピュータを立ち上げて親指シフトでの作業に切り替えました。
Webでテクストの取れる「青空文庫」が勉強にも便利です。例えば手元に本のない漱石の「写生文」などというテクストも読めますし、漱石の書簡も重要なものはネットで確認することができます。二葉亭四迷島崎藤村などの作品にも目を通しながら、かなりの量の抜き書きを作りました。
昼食後は和室に寝転がってワイド版の岩波文庫で『三四郎』を最後まで読み終わりました。何度も繰り返して読んでいるので自分なりの地図が浮かび上がってくるような気がします。松下浩幸さんの『三四郎』論には美禰子と三四郎ディスコミュニケーションが語られています。「自らが読解主体となり、「批評」することを禁じられている美禰子において、唯一、優位な立場を持ち得たかに見えた三四郎との関係は、三四郎の読解力の無さにおいて、「意味の受難」(ディスコミュニケーション)の体験へと一転してしまう。彼女の洩らす「嘆息」(溜息)はそのことの表れにほかならない。」(『夏目漱石1』p.267.)とあります。美禰子のため息の場面を詳細に調べてみたら面白いことが分かるかも知れません。