斎藤環さんの理想の教育とはなんだろう?

その斎藤さんが教育のありかたについて触れている部分が上掲書に有ります。大変に面白いので以下に引用させてもらいます。・・・「あの地動説のガリレオがこんなことを言っている。「他人になにかを教えることなどできない。できるのは、自力で発見することを助けることのみだ」とね。これなんか、すごくよくわかるな。このガレリオの言葉は、教育はおろか、転移というものの本質にすら射程が届いている。「発見を助ける」ってことは、発見したいという欲望、つまり「知への欲望」を、転移を通じて伝えることにほかならないからだ。思うに、これってあらゆる「教育」の基本なんじゃないだろうか。のぞましい教育っていうのは、ただ知識や情報を子どもに詰め込むことじゃない。すぐれた教育者は、ほどよい転移関係の中で、相手に「学ぶ姿勢」(これもまた「知への欲望」のひとつだ)を伝染させることができる人のことだ。」斎藤環『生き延びるためのラカン』(バジリコ)p.241.