夏目漱石『彼岸過迄』を読了しました。

takuzemi2007-08-25

夏風邪を引いたのか、それとも軽い熱中症なのか、起きてみたら頭がふらふらして何とも元気が出ません。昨日のランニングからどうも調子が良くないようです。今日は我が家でごろごろして過ごすことに決めました。和室で寝転がって、先ずは読みさしの夏目漱石彼岸過迄』(岩波版全集)に取り掛かりました。前半の「風呂の後」「停留所」「報告」あたりは、ストーリーの流れが掴めずに、手探り状態で読み進めました。後半の「雨の降る日」「須永の話」あたりから、ぐいぐいと盛り上げていく漱石の筆力にもう止められません。一気に読み上げてしまいました。それにしても、複数の話者がバトンタッチしながら語りをリレーしていくというオムニバス風の形式といい、敬太郎が彷徨する迷路のような東京を舞台にした探偵小説風の展開といい、修善寺の大患後の再出発を賭けた漱石の並々ならぬ意気込みが感じられます。「漱石マイ・ベスト」のランキングの上位に入るのは確実な作品です。(それにしても森本さんって不思議な人ですね。)・・・今日は島田雅彦著『漱石を書く』(岩波新書)も読了しましたが、私にとっては余り面白みのない本でした。斎藤環さんの『文脈病』も拾い読みを始めたところです。