三千代は「イノセントでアナーキー」な女性?

先日、ネットを見ていたら漱石原作の『それから』のDVDが見つかりました。森田芳光監督、筒井ともみ脚本、松田優作藤谷美和子主演の傑作です。手持ちのビデオテープが駄目になってしまったので、Amazon.co.jpで購入してみました。それが帰宅したら到着していたのでわくわくしながら見てみました。やはり松田優作の代助は素晴らしい演技です。小森陽一石原千秋編『漱石を語る1』(翰林書房)には小森氏、石原氏とこの映画の脚本を担当した筒井ともみさんの鼎談が掲載されていて大変に面白い裏話が読めます。藤谷美和子が演じる三千代を筒井さんは絶賛していて「イノセント・アンド・アナーキー」と評しています。三千代が代助の前でラムネをラッパ飲みする原作にはない場面や、三千代の素足をアップで映し出す画面には、エロティックないたずらが仕掛けられているのですね。その辺の細部の描写の巧みさにも、あらためて見て感心しました。