吉本隆明+佐藤泰正『漱石的主題』を読了しました。

ゼミ旅行の宿泊代金の払い込みのために総務課やら会計課やらを行ったり来たりしました。9月7日の昼食の代金も含めて、209150円を払い込みました。(前払いだったんですね。(^_^;;いやいや。昨日、総務課で知らされて、朝方に工面してきたのですが。・・・)これで後は現地に乗り込むだけです。4年生の発表が小規模になりそうなので、7日の午後は「夢十夜」あたりのコピーを持っていって「緑陰読書会」かなにかにしても良いかなとも思っています。
今日はS君が一時間ほどお喋りしていった以外には来客もなく、研究室で静かな時間が過ごせました。吉本隆明+佐藤泰正『漱石的主題』(春秋社)を読了しました。お二人の対談の筆記録です。面白いのは本の中盤3分の1ほどの「夢十夜」についての部分です。それに続く漱石作品に出てくる女性たちの「品定め」も面白い。お二人とも真剣そのもので、どうも吉本氏は『虞美人草』の糸子をべたぼめです。(吉本氏の趣味が逆に分かってしまって苦笑しました。)佐藤氏は「漱石文庫」で見てきた『道草』の反故の山に強烈なショックを打たれたと語っています。・・・「何枚もの原稿用紙にインクが飛び散っているんですね。それはたぶん、漱石がうまくゆかなくて、むしゃくしゃして、インクをパッパッと振ったんだと思ったんです。実にたくさんの草稿にインクが飛び散っているあの生々しさを見たときに、漱石はたいへんな苛立ちと苦労しながら書きつづけたんだなあということを実感いたしました。」(p.230.)(写真は上掲所のページです。)『道草』についてのお二人のやりとりも大変に興味深いもので、特に『道草』における「神」(キリスト教的な神ではない)についてのやり取りはスリリングなジャズの即興演奏を思わせるものがありました。