村上春樹著『走ることについて語るときに僕の語ること』を読了しました。

午後は研究室に移動しました。ゼミの配布資料やら講義のハンドアウトやらが散乱して大きな机の表面が見えなくなっています。紙の類いを整理してから流しを奇麗に磨きました。タオルも家から持ってきた清潔なものに取り換えました。・・・作業が一段落着いてから村上春樹さんの『走ることについて語るときに僕の語ること』(文芸春秋)を著者に伴走するようにして実に面白く読了しました。文体は軽いジョギングのように感じられます。実は見事に走り込んだロードランナーの完成されたジョグですね。読んでいて快感を感じてしまう爽快さです。しかも読者を「ニタリ」とさせるウイットや意外な告白も盛り沢山です。まさか、あのカッコイイ村上さんがクロールが泳げなくなるなんて誰にも予想出来なかったのではないでしょうか。私のようなランニングの初心者に取っては大先輩の本音の実体験がたっぷりと聞ける貴重な機会です。しかも走ることは、生きること、書くことのメタファーとして、著者の生の深奥の部分に根をはっていくことが正確な文体で語られていきます。村上さんのファンならずともランニングに関心のある方々にはぜひ一読をお勧めしておきます。