フランスの「ワイン危機」の話題を見ました。

takuzemi2007-10-26

昨夜はNHKの「クローズアップ現代」でフランスの「ワイン危機」の話題を見ました。グローバリゼーションの波に襲われてフランスに安いワインが流入しているのです。パリの大手ワインショップの販売する4割が何とチリのワインだと言います。新世界ワインに対するフランスの客の評価は「安いワインの方が良い」というものです。大規模な畑と低賃金の労働から生産される新世界ワインに押されてフランスの伝統的な生産者は危機に立たされているのです。EUの保護政策のもとでも3年前から赤字に陥っていると言います。ワイン農場の経営のために5000万円も借金したキュレルさんは「お金が返せない」と嘆きます。キュレルさんの周辺でも2割の農家がブドウ畑を手放したそうです。ブドウ畑をつぶしてホテルやゴルフ場にしようと考える人々も出始め、2年で23000ヘクタールが減ったと言います。新世界ワインの生産は合理的でコストも安く新技術を取り入れています。ワインの民主化に役立っていますが、一面、画一化にも通じます。EUとしても保護か自由化かで揺れているようです。
新しい試みに挑戦するワイン生産者もあります。ブルゴーニュのボワッセ社ではコルクをスクリューキャップに変えて、フランスで初めてのペットボトルワインなどの新しい商品開発に挑戦しています。・・・ラング・ドック・ルシオンのある生産者は90年代に父親が新世界ワインに切り替えて大失敗した土地に、地元の「カリニアン」という古くからの品種を植えて有機無農薬で栽培しています。素朴さを売り物にして成功しているのです。「カリニアンがなくなるのは日本から日本酒がなくなるようなもの」とこの生産者は言います。生き延びていくためには「ものがたり性」を消費者にアピールする必要があるのですね。(以上はNHKの番組に基づくメモをまとめたものです。)