千種キムラ・スティーブン先生にお話をお聞きすることができました。

第2セッションは江種満子先生の司会で韓国外国語大学の崔先生の「安部能成と<京城>の知識人ー越境する自己・他者ー」、本学の鈴木健司先生の「宮澤賢治作品における<主体>としての<自然>」、カンタベリー大学の千種キムラ・スティーブン先生の「帝国主義的主体の形成ー『ラストサムライ』と『佳人之奇遇』をめぐって」の報告がありました。いずれも大変に興味深い発表でした。今回のシンポジウムで嬉しかったのは、以前、私のブログでも紹介した『『三四郎』の世界―漱石を読む』や『三島由紀夫とテロルの倫理』の著者である千種キムラ・スティーブン先生にセッション終了後に直接お話をお聞きすることができたことです。漱石などの明治の文学を読むにあたっても、世界の状況の中にそれを位置づけつつ読むべきであるとのお話でした。先生は漱石の『行人』についての論文をそうした比較文学的な視点でまとめていらっしゃるとのことで、「国文学 解釈と鑑賞」、2005年12月号所収の「世界文学としての漱石文学:『行人』」を読むようにと教えていただきました。持参した先生の御著書『『三四郎』の世界―漱石を読む』にサインをいただけたのも大変に楽しい出来事でした。