宮井一郎著『夏目漱石の恋』(筑摩書房)を読み進めました。

takuzemi2008-03-28

朝の起きぬけの時間はコンピュータを立ち上げて夏目漱石の作品からの抜き書きを作る作業に当てました。数日前から取り組んでいる作業ですので要領も良くなっています。青空文庫のファイルを利用させてもらって自分のメモとして面白い部分を切り出して保存します。なかなか立派なデータになってきました。・・・10時からは今日も歯医者さんに行きました。昨日の抜歯の部分を消毒してもらうだけだと思っていました。ところが色々と工程が増えて90分ほども掛かってしまいました。帰宅するともう正午です。
午後は宮井一郎著『夏目漱石の恋』(筑摩書房)を読み進めました。漱石の作品全体の基底になっているのは漱石の恋愛体験だとする大変に面白い力作です。もう少しで読了するというところまで来ています。著者は漱石の『門』の登場人物・坂井を漱石自身の投影だと数々のデータを挙げて特定したあとで次のように語っています。<<「物質的の富」さえあれば、漱石が坂井のような風韻のある生活をなしうることは明らかである。このようにみてくると坂井が漱石の一側面を理想化した想像的自画像であることは、ほとんど確実だといってよいであろう。さて、この問題についてこんなに長くやや執拗に追求したのは、従来諸家によって描かれている漱石像には、こういう漱石の心が社会にむかって開かれている、明るい面が欠落していると、かねてから考えていたからである。(宮井一郎夏目漱石の恋』(筑摩書房)p.444.>>・・・「明るい漱石」という読み取りの方向に私も共感を感じました。(写真はフランスのiTunes Storeです。コレージュ・ド・フランスなどのPodcastもあるようです。また研究して報告します。)