今日も講義録の草案を色々と考えて過ごしました。

takuzemi2008-04-13

午前中は今日も講義録の草案を色々と考えて過ごしました。相変わらず「IdeaCard」で箇条書きのブレーンストーミングを行ない、テキストファイルでセーブするというパターンの繰り返しです。漱石の初期作品から後期作品へと至る歩みの中で記述法にどのような変化が見られるのかを考えて見ました。柄谷行人氏の言う多様性を秘めた「漱石の文」が、後期の作品ではやはりフラットなものに変化していく印象が有ります。
渡辺直己著『本気で作家になりたければ漱石に学べ!』(太田出版)の巻頭対談で渡辺直己さんと奥泉光さんが楽しいやり取りをしています。奥泉さんが「『明暗』で(『道草』に比べると)また語彙が若干増えている気がします」(p.20)と指摘しているのが大変に面白く感じられました。「大岡昇平の意見だそうですが、漱石は『吾輩は猫である』にまた戻っていっただろうと言うんですね」という発言にも色々と考えさせられました。お二人とも「こころ派」ではなく「猫派」であるところも共通しています。