埼玉県立近代美術館まで出掛けました。

午後は家人と娘を連れて埼玉県立近代美術館まで出掛けました。「いとも美しき西洋版画の世界【紙片の小宇宙を彷徨う】」と題された特別展を楽しみました。パンフレットから引用します。「ルネサンス文化とともに誕生した版画には、宗教、自然、解剖学など、人間を取巻くあらゆる事象から得た多くの題材によって、多くの版画家が紙の上に小さな宇宙を作り出しました。この展覧会では、15世紀に登場するドイツのデューラーから、16世紀フランドルのブリューゲル、17世紀オランダのレンブラント、フランスのカロ、18世紀スペインのゴヤ、19世紀のルドンやビアズリー、20世紀のルオー、ピカソエッシャーまで、各時代の代表的版画家・画家の作品が一堂に会します。」・・・
私の愛読書の一つであるオスカー・ワイルドの『サロメ』を飾っているビアズレーの一連の挿絵がありました。数は少ないのですがマドリッドプラド美術館の展示を思わせるようなゴヤの版画も数点ありました。
何よりも嬉しいのは上野などの大きな美術館ではありえない館内の余裕です。混雑していません。小さな版画に顔を接近させて、細密な描写を至近距離で鑑賞出来るのは実に特権とも言うべき至福の時間ではないでしょうか。ピエール・ブリューゲル(父)の『七つの大罪』のシリーズを見ているうちに、なぜかにんまりと笑いが込み上げてきました。このグロテスクな描写は例えばラブレーの世界にも通じる「人間研究」の系列に繋がるものだと思いました。