漱石の文章のもつ「強度」について語ってみました。

3限の「文学」では冒頭で『ユメ十夜』のDVDから「第四夜」を見てみました。漱石の原テクストを換骨奪胎してまったく違うストーリーになっています。DVDを少しだけ見てから本題に入りました。先ずは漱石のさまざまな小説の書き出しを、つまりアラゴンの言う「冒頭の一句」をパワーポイントで見てもらいました。こうして小説の書き出しの部分を見るだけでも、漱石の文の多様性が十分に確認できます。・・・それから配布資料に沿って柄谷行人氏の「漱石と文」の論旨を紹介しながら、漱石の文章のもつ「強度」について語ってみました。最後にまたDVDに戻って「第五夜」を楽しみました。これも原作をまったく改変して、ホラー映画仕立てになっています。照明を落として暗くなった大教室の中で、あちらこちらから「きやー」という声が上がりました。
午後は研究室で一休みしていたら、3年ゼミ生のMさんが質問に来ました。広いテーマに関心を持っている人で、私にもなかなか答えられない質問をぶつけてきます。Mさんとディスカッションしているうちに、逆に自分の考えが明確になってくるような時もあって面白い気がします。大いに楽しみな存在です。(雨の一日となりました。正門の向こうにも傘がならんでいます。)