ねじめさんは「引っ掛かるコトバを探せ」と言います。

5限は3年のゼミです。今日は『『星の王子さま』を学ぶ人のために』から、「物語のリズム」について、「言語の使用域」について、先ずはYさんの発表がありました。物語の提示様式を変化させることで、テクストの印象を強め、物語のリズムを変化させることができるという問題です。
言語の使用域にも、日常表現、改まった表現、くだけた表現などのさまざまなレヴェルの変化があります。これは『坊ちゃん』あたりのテクストを輪読してみると具体的な例が見えて来そうですね。
もう一人のYさんの発表は『王子さま』の第1章のテクストの特徴を分析した部分についてです。作者が子供たちに特有の言語表現をテクストの中に取り込むことで、言わば「年少の読者への目配せ」を行っていると指摘しています。
最後に少しだけビデオを見ました。ねじめ正一さんが井伏鱒二の詩を紹介する番組です。独特のペーソスとユーモアを込めた特異な作風で知られる井伏さんですが、詩の方は余り知られてはいないのでしょうか。ねじめさんは詩を読むためには先ず「引っ掛かるコトバを探せ」と言います。同感ですね。井伏さんの姿勢についても「手を抜かず気を抜かず、力だけが抜けている」と評しているのに感心しました。