『漱石の思い出』(文春文庫)を再び読み始めました。

午後は途中まで読んだまま中断していた夏目鏡子述・松岡譲筆録『漱石の思い出』(文春文庫)を再び読み始めました。漱石がロンドンから帰って来たばかりのころの思い出は、やはり相当に重い雰囲気があります。いわゆる「神経衰弱」に罹っていた漱石が、妻の鏡子さんに当たり散らす場面が克明に語られていて息苦しくなります。ところが、家に紛れ込んだ猫を飼うことにしたあたりから雰囲気が変わってきます。ある人からは「福猫」だと言われたと鏡子さんは語っていますが、この猫の存在がなかったならば、『吾輩は猫である』も書かれなかったかも知れないのです。突然、ものを書き始めた漱石の旺盛な執筆意欲が生々しく語られていて、迫力があります。
3時過ぎに大宮まで散歩に出掛けました。ランニング用の短い5本指の靴下がすり減ってしまったので、UNIQLOに寄って3足ほど買っておきました。それからジュンク堂に移動して本を見ました。おもに新書のコーナーを色々と物色して「高齢化社会」を理解するための参考になりそうな本を探しました。気がついてみたら、一つのテーマを巡って文献探索をしながら、少しずつ情報が蓄積されてくるプロセスというものも、悪くないなということです。面白い小説を読むのと同様の「不確定要素が確定要素に変わっていく快感」(友人のI君の言い回し)を感じてしまいます。