水村美苗さんの『続 明暗』を読了しました。

南越谷のVARIEで昼食を取って帰宅しました。もう散歩に出掛けるのも億劫になってしまいました。居間で水村美苗さんの『続 明暗』(新潮文庫)を読むことにしました。夏目漱石の最後の作品である『明暗』は作者の死によって中断されて未刊のままに終わったために、多くの研究者によって、どのような結末だったのだろうかという推理が提出されてきました。熊倉千之先生の『漱石のたくらみ』(筑摩書房)などの楽しい作品も生み出しました。こちらの水村さんの作品はそうした解読を「小説」の形で提出してしまおうという試みなんですね。・・・
で、読了した感想ですが、大変に面白かったです。後書きで水村さん自身がお書きになっているように、水村さんは漱石ではありません。けれども、「お話の続きを聞きたがる子供」である読者の「で、それからどうなったの?」という問い掛けを途切れさせずに引っ張って、あの高所まで(芳川泰久さんの言う位置エネルギーの貯蔵庫まで)盛り上げていった力量には感心しました。小林青年も乱歩の「少年探偵団」シリーズの小林少年以上に輝いていましたね。