ゼミでは「ディズニーランド」を読んでみました。

金曜日の午後は3限と4限が空き時間となっています。色々と授業の準備をしながら楽しめます。5限の3年のゼミの教材を用意したり、少々教材を読み込んだりして過ごしました。・・・3年ゼミ生のYさんが研究室に遊びにきたので色々とお喋りして過ごしました。まだまだ卒論に書きたいテーマが見つからずに悩んでいるとのことです。慌てずに、ゆっくり考えるように勧めておきました。
5限のゼミでは『ちくま評論選』から吉見俊哉さんの「ディズニーランド」を選んで読んでみました。装置としてのディズニーランドの仕掛けを解明しようという文章だと本文解説にもあります。ディズニーランドには「俯瞰的な眼差し」が排除されていると著者は指摘します。そこでは観客は特権的な眺望を持つ傍観者となることは許されず、むしろ物語の中の当事者として、ディズニー映画の登場人物のように自ら演じることを要請されると言うのですね。大変にスリリングな論文で楽しめました。学生諸君にも読後の感想を書いてもらいました。現在、ディズニーランドで働いているOさんはスタッフの一員としての立場から吉見さんの論文にはディズニーの「夢」が語られていないと不満を表明しました。(もちろん論文の面白さは認めた上です。)また、Yさんは「少しだけ怖い印象を持った」と書いてくれました。「外部の世界から切り離されることで、現実を伴わない世界で感じる楽しさは、依存性のあるものだと思った」と言うわけです。確かに楽しいはずの遊具が「現実から目を背けるためのもの」(Yさん)となってしまう危険もあるのですね。