『<老い>の現在進行形』を少々読みました。

午後は吉本隆明三好春樹共著『<老い>の現在進行形』(春秋社)を少々読みました。老いというプロセスは平坦な下り道ではなく、時に階段から転げ落ちるような進行を見せることがあると言うことです。「ちょっと何かがあっただけでガタリと老化する」(p.89.)と吉本氏は言います。1996年8月8日午前、伊豆西海岸の土肥で海水浴中に溺れかけた体験が語られているのですが、この時から吉本氏は「身体に内向する」ようになったと語っています。このあたりのいきさつを対話者である「介護の職人」こと三好春樹さんは「寝たきり老人を見ていておもうんですが、身体の障害で寝たきりになるという人はまずいない。脳卒中片麻痺になっても、片手で起きあがれないことはないし、片足で立てないこともないんです。それが寝たきりになっているのは私に言わせれば関係障害なんです。障害を持ったじぶんとの折り合いがつかない、どう生きていったらよいかわからない、それで目がとろんとしてきて、その後で身体が弱ってきて歩けなくなるというのがほとんどです。だからもう一回まわりに新たな関係をつくればいいんです。」(p.104.)と表現しています。なるほど巧いことを言うなあと感心してしまいました。「老化における身体と精神」の問題を考えるのも面白そうです。