「ヨーロッパの文学」の講義を行いました。

午後の1時からは643大教室で「ヨーロッパの文学」の講義を行いました。今日はミシェル・ド・モンテーニュを中心に話を進めました。冒頭では少々、アイデアを取りまとめるためのさまざまなノウハウを紹介しました。それからハンドアウトに沿って、フランス文学の伝統の中に色濃く刻み込まれている人間観察の流れについて語りました。いわゆるモラリストの文学の伝統です。モンテーニュについては堀田善衛先生の大作『城館の人』(集英社)の3巻があります。その内容を紹介するかたちで、当時の大ブルジョワが貴族のステータスを獲得していくプロセスを、モンテーニュの3代前の祖父から、父、息子・・・という流れで語ってみました。
「自己への視線」というテーマが出現したのもこの時代の特徴だったわけですね。宗教争乱の乱世が続くなかで、自分というちっぽけな「貧しい自己」が、それでは何者なのかと問い掛けていくモンテーニュの姿勢には、気がついてみればとんでもない乱世である現代に生きる我々にも大いに学ぶものがあるはずです。