モリエールの登場人物は運命に抗して生きます。

午後は「ヨーロッパの文学」の講義となりました。前々回と前回は映画鑑賞を中心に授業を進めたので、ハンドアウトの説明が不足しています。今日は先ずは前々回のハンドアウトに沿ってデカルトパスカルの話しから始めました。性格的にも正反対に思われる二人の思想家たちですが、どちらもその後のフランス思想をリードする先駆者となっています。パスカルに関しては「言語表現の達成による新事実の発見」とでも言うべき側面も重要です。レトリカルな言葉の使い方が一瞬決まった時に人間性の未知の部分への「気づき」が生じるのですね。(パスカルのレトリック表現については言語学者佐藤信夫氏の的確な指摘があり、ハンドアウトでも引用させていただきました。)
ラシーヌモリエールについても教材提示機でスクリーンにアウトラインを映写しながら話しておきました。「運命に対する登場人物の自由度」がラシーヌモリエールではまったく異なっています。自分の運命にあらがう登場人物はモリエールの喜劇に出てくるのですね。