「引退したら鱒釣りでもして過ごすさ」

大好きなジェスロ・タルのアルバムに「森からの歌」(SONGS FROM THE WOOD)というものがあります。このアルバムはイギリスの田園の香りがいっぱいに詰まっています。中でも好きな曲はPibrock(Cap In Hand)です。歌詞の内容は妻を置き去りにして放浪の旅に出た男が里心に駆られて何年ぶりかに谷間の我が家に戻ってくるというものです。帽子を手に握り締めて見慣れた谷間の夕暮れどきに我が家の窓を覗き込むと・・・妻は見知らぬ男と親しげに団欒を楽しんでいた・・・というようなストーリーでした。(だいぶ古い記憶なので間違っているかも知れません。)
ジェスロ・タルの詩と曲の大部分はリーダーでボーカルのイアン・アンダーソン(Ian Anderson)の手によるものです。この人は本当にUKロックのUKたる所以を知り尽くしている人だと私は思っています。「引退したら鱒釣りでもして過ごすさ」と現役時代に語っていた記憶があります。実はロンドン滞在の最終の週末にバス旅行で立ち寄ったコッツウォールズ地方の小村の雰囲気が何とも素敵でした。イアン・アンダーソンが鱒を釣るならこんな村のこんな川でだろうと思ったものでした。澄み切った水が流れる川のほとりには鱒の養魚場もあり売店には美味しそうな鱒がならべられていました。税関がなければ買って帰りたいと思ったものでした。(写真はコッツウォールズの売店の鱒です。)