『境界への欲望あるいは変身』を読んみました。

takuzemi2009-03-10

油断をしていたら時差ぼけがまた暴れだした様子です。午前3時に目が醒めてしまって眠れません。なぜかTV5を見る気分にもなれず、桐山恵子さんの『境界への欲望あるいは変身 ヴィクトリア朝ファンタジー小説』(世界思想社)を散漫に読んで時間を過ごしました。オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』を始めとする世紀末のイギリス小説を近代都市ロンドンとの関係の中で位置付けようという試みです。元々は英文で書かれた著者の博士論文を日本語に書き直して手を加えたものらしく読みやすいものとなっています。ドリアン・グレイの肖像画の方が実はドリアン・グレイ本人を観察する主体としての「視線」の役目を果たしているのだという指摘は大変に面白く感じました。私も秋学期の講義「ヨーロッパの文学」の講義録のリニューアルに取り掛かろうと決心しています。作品から作者へと溯ること、作品から文化的な背景へと溯ることをむしろ意図的に心掛けていこうと考えています。アンチ・テクスト理論ということです。
相変わらず日中は眠くて堪らないのですが浦和に移動して伊勢丹とPARCOに寄りました。伊勢丹(CORSO)の山野楽器とPARCOの紀伊国屋でDVDを買い求めました。歌手のシャルル・アズナブールがゴリオ役を演じる『ゴリオ爺さん』(バルザック原作)などのDVDです。授業で学生諸君に楽しんでもらうことも出来そうです。