近代化の「明暗」について語ることから始めました。

午後の3限の「文学」では、先ず日本の近代化の「明暗」について語ることから始めました。漱石は日本の近代化が「外発的」であることに早くから警鐘を鳴らしていた作家です。明治の日本は自らの内的な動機の必然があって「内発的」に開化したのではないと言うのですね。そこで、近代化の悪しき側面を作品の中に何度も書き込みもしました。その辺の「近代の暗黒面」のイメージを若林幹夫氏の『漱石のリアル』(紀伊国屋書店)などに触れながら話しました。そのうちに、ちょっと話しが長くなってしまいましたので、中断してDVDを少しだけ見ることにしました。『ユメ十夜』から小泉今日子さんと松尾スズキさんの演じる「第一夜」を見てもらいました。漱石のロマンティストとしての一面が色濃く出ている『夢十夜』をかなり大胆に作り直した映像化作品です。(原作に忠実ではありません。)・・・最後に『坊っちゃん』について触れる予定だったのですが、時間の配分に失敗して中途半端な説明に終わってしまいました。時間切れの部分はまた次回に繋ぐことにしましょう。
3限の終了後は研究室でゆっくりとした時間を過ごしました。読書や書類の整理などです。同僚の先生方との情報交換も今日は順調でした。それにしても自分で納得のいく講義をするのは、なかなか大変な仕事です。年に数回の僥倖の時と考えた方が良いのかも知れません。悩ましいですね。(元荒川の河川敷は菜の花の真っ盛りです。)