研究室を片付けてから大学図書館に移動しました。

佐藤信夫先生は言葉というものは「思ったことを素直にありのままに」書けるような単純な代物ではないと言います。素朴実在論的な表現論を批判しているのですね。これに反してレトリカルな表現とは「常識的な平常表現からいくらかへだたった、目立つ、独特なことばの型」(p.38)を意味します。「古来のすぐれた表現がしばしば常識から逸脱した姿を見せたのは、多くのばあい、常識的なことばづかいでは的確に語りえぬことがらを何とか語ってみようとする苦心の結果であっただろう」(p.12)と言うのです。
一時間で何とかハンドアウトに沿っての話を終えて、残りの30分ほどでビデオを鑑賞しました。もう古いものなのですが、谷川俊太郎さんとねじめ正一さんの「詩のボクシング」を収録したものです。「ゆっくりゆきちゃん」などの素晴らしいパフォーマンスにスクリーンに見入りました。
授業終了後は研究室を少々片付けてから大学図書館に移動しました。一時間ほど地下の閲覧席でアイデアノートの見直しの作業と取り組みました。漱石関連の本も無性に読みたくなっています。斉藤秀雄著『夏目漱石の小説と俳句』(翰林書房)と松元寛著『漱石の実験』(朝文社)の二冊の漱石研究書を借りて研究室に戻りました。
帰路もまだ雨が降り続いています。元荒川の河川敷は草いきれでむんとする感じです。ドロノキの葉むらもすっかり色濃くなって燃え上がるように見えます。(元荒川も雨にけぶっています。)