出津橋からの眺めは素晴らしいものでした。

研究室に戻ると5限のゼミの時間まで空き時間が広がっています。少人数で『星の王子さま』を読んでいる「フランス語5」も今日はお休みです。A君もIさんも就活などの急な用事が入ってしまってしまいました。研究室で「漱石研究」(翰林書房)の第16号の『虞美人草』特集を読んで楽しみました。
英文学者の高山宏さんをゲストに迎えて、小森陽一さんと石原千秋さんが聞き役に回るという「奇想天外『虞美人草』講義」は大変に面白いものでした。地の文を「ト書き」と見なし、会話の文を「セリフ」と見なして読んでみると、『虞美人草』は小説ではなく演劇作品として読めてしまうという指摘は大変に面白く感じました。17、18世紀ころから続く英文学の古層から継承したさまざまな技法を漱石が自家薬籠中のものとして身につけていて、自在に活用しているのだという解読にも大変にスリルがあります。楽しく読みました。
5限の3年生のゼミではH君の用意してくれたレジュメを配布して、マリーズ・ブリュモンのテクストを読み進めました。連休明けの雨上がりの肌寒い一日とあって、ゼミ担当教員である私に牽引力が少々不足している感じがありました。反省しきりです。
帰り道の出津橋からの眺めは素晴らしいものでした。少しだけ顔を出したお日様が雲の隙間からぎらぎらとした光を川面に投げかけているのです。けれどもお日様にさようならを告げなければならない時間が迫っています。橋の真ん中にしばし立ち尽くして落日の光景を眺めました。(写真です。)