川沿いのベンチで寛いでしまいました。

3限の「文学」の授業では珍しく大いに喋りまくりました。自分でも話すのが楽しかったのです。さすがに疲れたので研究室に戻ってしばらく茫洋として過ごしました。(女子学生の方が「詩のボクシング」のビデオを貸してくれと言ってやって来ました。谷川俊太郎さんが大好きだと言います。こんな来訪者との何気ないやり取りも楽しい時間です。)
そのうちに片付けなければならない仕事があるのを思い出して図書館に移動しました。新聞の文化欄などに目を通しながら、先ずは図書館二階のブラウジングルームで一時間ほど過ごしました。面白そうな記事はコピー機のある場所まで移動してコピーを取っておきました。
図書館地下の閲覧席に移動して一休みしてから、漱石論の並んでいる書架を今日も物色しました。漱石の「修善寺の大患」後に書かれた作品は、いずれもが複数視点から語られる短編の連作という形式を取っています。後期三部作の『彼岸過迄』、『行人』、『こころ』の三作ですね。視点を自由に移動させて、一つの事象を複数の視点から見てやろうという語り口は、アラゴンの後期作品にも見られる技法で、大いに興味をそそられます。こうした構成を漱石が選んだのはなぜだったのかが気に掛かるのですね。
玉井啓之・坪内稔典編『漱石作品論集成【第八巻】彼岸過迄』(桜楓社)と佐々木雅發著『漱石の「こころ」を読む』(翰林書房)の2冊を借りて帰ることにしました。
仕事を片付けて帰路に着きました。北越谷という土地に職場があることの幸せを帰りがけには感じます。出津橋、ドロノキ、元荒川の河川敷、川沿いの桜並木、並木のところどころのベンチなどなどの有り難い環境なのですね。夕方の風が余りに心地よいので川沿いのベンチでしばらく寛いでしまいました。