大きな窓の向こうには久し振りの青空が広がっています。

今日は久し振りに青空も覗きました。午後は気温も急上昇しました。我が家の財務大臣はクーラーを使わない主義です。私はと言えば、涼風を求めて書店やカフェに足を伸ばすという楽しみがあります。今日も午後はSTARBUCKSで二時間程もブログの下書きを書いたり、フランスのテレビ局のpodcastを見たりして楽しみました。
STARBUCKSの大きな窓の向こうには久し振りの青空が広がっています。芒洋と風景を眺めていたら、蓮実重彦氏が「漱石研究」の対談で『こころ』は不愉快極まりない作品で、恥ずかしくて読めないと発言していたのを思い出しました。手元に本がないので、記憶で思い出すしかありませんが、読者に提出すべきデータを作者・漱石が故意に隠蔽しているという主張だったと思います。同様の発言を島田雅彦氏も『漱石を読む』の中で行っています。「なぜ?」という読者の疑問が解答不可能な迷宮の中で放置される部分が確かに有るような気がします。
データが欠落した物語と言えば、ドナルド・バーセルミの『死父』なども昔、読みました。やはり言わんとすることが良く分かりません。日文のT先生のゼミの卒業生である新藤順丈さんの『地図男』はデータの欠落はあるものの、意外に明るい読後感を与えてくれます。そうした作品と比べて、『海辺のカフカ』はどうなのか。もう少し考えてみたいと思っています。