『坊っちゃん』が面白いのは言葉が面白いのです。

takuzemi2009-08-09

日曜日と言っても、天気が悪くて外出する気分にもなりません。どんよりとしたモノクロームの空の色に染まったかのように、自分の時間までもがコントラストを失っていくような気がします。こんな調子では良くないと思うものの、読書と取り組む意欲も減退してしまいます。久し振りに仕事の手を休めている家人と一緒に、テレビを見たり、お喋りをしたりで午前中を過ごしてしまいました。イージーゴーイングです。
午後は気を取り直して、本棚の整理を続けました。少しずつ不要の本を「排除」する方向で本棚の本を見直しています。漱石関連の研究書のコーナーに加えて、村上春樹についての新書本なども増え始めています。
小森陽一石原千秋編『漱石を語る(1・2)』(翰林書房)を引っ張りだして読み直し始めたら、面白くなってしまいました。本棚の整理は中断となってしまいました。二人の編著者を相手に井上ひさし氏が対談している部分を読み直しました。「『坊っちゃん』を舞台なり映画なりにして、成功した試しは無い」と井上氏は言います。筋立てにしてしまうと『坊っちゃん』の言葉そのものの面白さが消えてしまうと言うのですね。「つまり漱石の真骨頂は「話の筋立て」にはなくて、書かれた言葉そのものにあるわけです」との指摘は的確です。