一家で『崖の上のポニョ』を楽しみました。

家人が宮崎駿の『崖の上のポニョ』を借りてきました。夕方から見始めたら、娘や息子も居間に集まってきて、賑やかになりました。先ずはタイトルバックの素朴なタッチで画面に引き込まれてしまいます。冒頭から限りなくシンプルな構図で、宗介とポニョの物語にぐいぐいと誘い込まれていく感じです。わいわいと勝手なことを言い合いながら、一家でDVDを楽しんでしまいました。
最後まで見て不全感も残りました。宗介の母親リサは完璧なスーパー・ウーマンとして描かれていて、全方向で頑張っているのが分かるのですが、宗介の父親の方は終始、海に出ていて物語の中では影が薄いのですね。ポニョの父親のフジモリの存在も中途半端な気がします。海の力を復活させようと思っているのは分かるのですが、なぜ彼が現在のような人間になったのかも説明不足です。おおむね、男たちの存在感が感じられないのです。ロールモデルとしての父性や男性性が欠如しているとでも言いましょうか。それから、ポニョの母親のグランマンマーレの存在が何とも大仰すぎて、取ってつけたような印象を受けました。これでは男たちはどこまで行っても勝てません。(宗介の将来まで不安に思ったのは私だけでしょうか。)
巨匠の大ヒット作品にちょっとした不満を漏らしましたが、大筋では大変に楽しい作品でした。(窓の外にはどんよりとした曇天が広がっています。)