企画展「ロシアの夢 1917-1937」を見ました。

先ずは企画展「ロシアの夢 1917-1937」を見ました。2月に開催されていた「青春のロシア・アバンギャルド」が絵画を中心に展示されていたのに比べると、今回の続編はポスターや雑誌などのグラフィック・デザインが中心に展示されています。ナタリヤ・ダニコの「チェス駒(赤と白)」のように赤軍と白軍の対立をモチーフにしたアイロニカルな作品もありました。
企画展を見ているうちに何か空虚感のようなものに捕らわれました。2月にロンドンのテート・モダンで現代美術を見ていたときに感じたのと同様の空虚感です。伝統から切り離されてしまった表現の空虚さとでも言った方が良いでしょうか。『星の王子さま』の中で「どういうこともない花」が「ちいさな王子」に言う「なにしろ風まかせでしょう。人間には根っこがありませんもの。それで人間はずいぶん、苦労しているんですよ」という言葉を思い出しました。(野崎歓訳『ちいさな王子』光文社古典新訳文庫より)常設展の部屋に移動して佐伯祐三、キスリング、ルドンなどの絵を見ているうちに気分が落ち着いてきました。