浦澄彬著『村上春樹を歩く』を読み始めました。

図書館で借りてきた浦澄彬さんの『村上春樹を歩く』(彩流社)を読み始めました。浦澄さんは『イアン・ブルマの日本探訪』(TBSブリタニカ)に載っている村上春樹へのインタヴューを傍証にしながら、「村上の父」の分身が「羊博士」、「間宮中尉」、「ジェイ」などの人物に投影されているのではないかと推理しています。面白い指摘だと思います。
ノルウェイの森』の「緑」の母校だと思われる四ツ谷雙葉学園や「ワタナベ」の寮だと思われる「和敬塾」を訪れたあとで、裏表の存在として描かれている「直子」と「緑」とが時には同一人物と感じられる部分があるとも指摘しています。そして「直子」と「緑」とのルーツを村上春樹のデビュー作である『風の歌を聴け』(講談社文庫)に求めています。「四本指の女の子」が「お父さんは五年前に脳腫瘍で死んだの」(p.80)と語るのは「緑」を連想させますし、「一人でじっとしていると、いろんな人が私に話しかけてくるのが聞こえるの。(中略)大抵は嫌なことばかりよ。お前なんか死んでしまえとか、後は汚らしいこと・・・」(p.139)と語るのは「直子」を連想させると言うのですね。まだ冒頭の部分を読んだばかりですが、大変に面白そうです。
2時40分からは文学部運営協議会の会議となりました。今日も議題が満載で、3時間半ほどの長い会議となりました。(学生食堂の脇の中庭にはモンゴルの住居が出来ていました。土曜日に国際協力のイベントが予定されているのです。)