『オイディプス王』のDVDを見ることにしました。

午後はソポクレス作『オイディプス王』のDVDを見ることにしました。2004年、ギリシャアテネの古代劇場ヘロデス・アティコスでの上演を完全収録したものです。いかにも蜷川幸雄演出という感触です。大胆にして繊細な仕上がりになっています。オイディプス役の野村萬斎もイオカステ役の麻美れいも好演しています。「父を殺し、母を娶る」というオイディプスの悲劇が場面の進行とともに露呈されていくプロセスが大変な迫力で観客に迫ります。
本編129分という超大作ですが、最初から最後まで見てしまいました。舞台のメイキングを撮影した特典映像も付いていて楽しめました。
三叉路で道を譲れと言われて喧嘩になり、殴り殺してしまった男が自分の実の父だったとは、オイディプスには知ることも避けることもできない「あやまち」でした。こうした逃げることのできない状況というものは、私たちの人生の中で時として遭遇せざるを得ないものです。観客である私たちもまた「自分がオイディプスであったかも知れない」と感情移入をして、悲劇の深さを受け止めるのでしょう。(喫茶店の外のテーブルに座る人もありません。)