画面に作家の大江健三郎さんのお顔が映りました。

仕事から帰ってきた家人とお喋りしながら昼休みを取っていたら、NHKのテレビの画面に作家の大江健三郎さんのお顔が映りました。どうやら生放送でのインタヴューのようです。大江さんはご自身の作家としての日常生活を「歩く・読む・書く」の毎日だと言います。朝は5時に起きて、6時から1時間ほど野川のほとりを歩くのだそうです。執筆中の小説の5ページ分ほどを頭の中で推敲しながら歩くというのに驚きました。
大江さんは集中して読書することが大切だとも言います。フランスの批評家のバルトに付いて批評家のノースロップ・フライが言った言葉を紹介してくれました。本の中に何かを探索(quest)するために読むこと、そして何度でも再読(reread)することが大切だと言うのですね。
最新作『水死』の生原稿もアップで見せていただきました。色鉛筆を使いながらマーキングするように推敲している様子が分かります。一旦書いた原稿をもとにして、もう一度働く(elaborate)のだという言葉に感動しました。
大江さんが恩師の渡辺一夫先生から贈られた、恩師手作りの宝物の「お城」も見せてもらいました。サラマンドルの紋章が貼ってあります。「Nutrisco et extinguo」というラテン語の文字が読み取れます。「私は(良いものを)育てる。そして、(悪いものを)滅ぼす」という意味だそうです。「お城」には「脱出口」も付いています。「あなたのような人には《脱出口》が必要だ。(時々は逃げ出した方がいいよ)」という渡辺先生の大江さんへのアドバイスなのですね。

以下のURLにサラマンドルの紋章の解説がありました。
http://www.flickr.com/photos/pierre_pouliquin/3403044685/

(写真は夕方のベランダからの富士山です。大変に風の強い、寒い日になってしまいました。)