柏倉康夫著『生成するマラルメ』を少々読み進めました。

takuzemi2010-04-04

 どんよりとした花曇りの空が垂れ込めています。窓の外はかなり冷え込んでいる感じです。大学院時代の友人たちと上野で花見を計画しています。しかし何だか寒そうですね。・・・朝方に先輩のAさんから電話が入りました。今日の花見のメンバーです。風邪気味で今日は参加できないとの連絡でした。残念ですが、どうかお大事に・・・。
 午前中は柏倉康夫著『生成するマラルメ』(青土社)を少々読み進めました。マラルメの書簡や手書き原稿などの資料にも当たりながら、実に精緻な分析に基づいて、マラルメの生を跡付けている作品です。400ページ程もある分厚い作品です。130ページまでを読んだばかりですが、自分の理想とする作品の像と現実とのギャップを前にして呻吟する若き日々のマラルメが生々しく描かれています。引き込まれました。
 小さな手提げのバッグに村上春樹神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫)を放り込んで家を出ました。革ジャンパーにマフラーといういで立ちです。上野に向かう車中では「アイロンのある風景」を読みました。三宅さんの描いた絵に付いてのやり取りの中で順子が口にする「何かを身代わりにしてしか描けないこと」という言い回しが気に掛かります。まるで村上春樹の小説技法をメタファーで語っているような気がするからです。これは何とも不思議な短編でした。(みなさんなら結末をどう読みますか?)