『『星の王子さま』を読む人のために』を読み進めました。

 午後になって気温がどんどんと上がってきました。まるで夏の一日のようです。学生食堂で昼食を済ませて研究室に戻りました。岩波文庫の『三四郎』を最後まで読み通す時間が持てました。漱石の「たくらみ」があちらこちらに感じられる今回の再読でした。
 5限のゼミの時間まで空き時間があります。加藤晴久先生の『自分で訳す星の王子さま』(三修社)を開いて、26章を中心に原文に目を通してみました。大人である語り手と子供である王子との立場が逆転するなどの面白い指摘が注に書き込まれています。
 5限のゼミではマリーズ・ブリュモンの『『星の王子さま』を読む人のために』を読み進めました。今回読んだ部分は「大人」と「子供」の二項対立に触れた部分です。語り手のパイロットは「大人」で、王子は「子供」です。ところが『星の王子さま』の26章の王子の旅立ちの場面では「大人」であるはずの語り手が悲しみに囚われて言葉を失っていきます。一方、「子供」であるはずの王子は迫りくる死に脅えながらも自らの運命を受容する「大人」の態度を示すのです。「大人」と「子供」の逆転が生じるのですね。語り手と王子のこうした関係の変化が物語のクライマックスを見事に盛り上げているのです。