夏目漱石の『虞美人草』のストーリーを説明しました。

 3限の「文学」の講義ではスクリーンに私の手書きのイラストを映写しながら夏目漱石の『虞美人草』のストーリーを説明しました。先ずは京都の比叡山(高所)にいる「男」と「男」の絵に注目してもらいました。宗近一君と甲野欽吾君の二人です。それから東京の某所(低所)にいる「男」と「女」の絵にも注目してもらいました。小野清三君と甲野藤尾さんの二人ですね。主要な登場人物を紹介してから、この物語の粗筋を解説しました。
 ハンドアウト水村美苗さんの論文を抜粋したものです。漱石ホモソーシャルな意識が逆説的に「藤尾」という強烈なキャラクターを生んでしまったプロセスを見事に跡づけています。今日は学生諸君に私の言いたいことがかなり伝えられた感じがあります。授業の最後の15分ほどで松田優作主演の『それから』の映像を少々見ておきました。
 早めに帰路に着きました。元荒川沿いの道も風が爽やかです。桜並木もすっかり緑が生い茂っています。
 武蔵浦和まで帰ってから、行きつけのカフェで一休みしました。ジャン・グルニエの言葉だったでしょうか。「一万分の一秒の放心」という言葉を思い出しました。ふと物思いに耽ることを人生の中の大切な瞬間として位置づける言葉だったように記憶しています。御法度のビールをいただきながら、しばらく「放心」して過ごしました。(週末にはグルニエの『孤島』を読み直してみたいものです。)