授業を終えると「我が放課後」が待っています。

 午後の3限の「文学」の授業では夏目漱石の『行人』の話をしました。二郎の友人の三沢の話、二郎自身の話、一郎の話と、周辺から中心へと次第に回り込むような複雑な構造を持った作品です。登場人物の名前に仕込まれた「三、二、一」という数字にも漱石の遊びが感じられます。それだけでなく最終章の「塵労」は作者の胃潰瘍のために五カ月以上の中断の後に付け加えられた章です。そのために一郎という存在を正当化するために書かれたような作為を読み取る評者もあるようです。
 今日は伊豆利彦氏の「『行人』論の前提」を学生諸君に紹介しながら「一郎を中心とした読解を脱構築すべきだ」という主調を検討してみました。言い換えれば二郎とお直の「自然な心」に沿った読解の可能性です。・・・最後にDVDの『ユメ十夜』から「第七夜」を見てみました。巨大な船の出てくる夢ですね。漱石の原作がファンタスティックなアニメーションに変身しています。なかなか楽しめました。
 今日の2駒の授業を終えると「我が放課後」が待っています。2時半過ぎにゆっくりと学生食堂に移動しました。この時間帯になると学食もゆっくりとくつろげます。ちょっと血糖値の上がりそうな食事を取ってしまいました。キャンパスに出てみると頭の天辺が焼きつきそうな強烈な日差しが照りつけています。デジタルカメラでキャンパスの風景をスナップしてから研究室に戻りました。
 先日から少しずつ原稿執筆の作業と取り組んでいます。アラゴンの作品について久し振りに書いてみたいと思っているのです。一日に数百字書けるときもありますが、まったく書けない日々も続きます。(写真はキャンパスの風景です。今日は空が青く澄んでいます。)