ラルフ・イーザウの『暁の円卓』を読み進めました。

 フランス語の授業は今日が最終回です。「えすかるご」第8章のディアローグを中心に読み進めました。動詞allerを使った近接未来の文や動詞venirを使った近接過去の文が対話文の中に上手に組み込まれています。女性国名、男性国名の前での前置詞の使い分けなどの文法項目も多くて消化するのに難儀しました。(試験の傾向と対策も早めに説明しておきました。)
 3限の「文学」の授業では漱石作品の初期から後期への変化をテーマに取り上げて語りました。『虞美人草』以後は漱石は「美文」に戻ることはありませんでした。その理由を考えてみました。『三四郎』『それから』『門』の初期三部作と後期作品との相違点についても足早に考えてみました。私のお喋りは35分ほどで切り上げました。残りの35分で先週に引き続いて「詩のボクシング」のビデオを見てもらいました。谷川俊太郎さんとねじめ正一さんが詩の朗読の優劣で得点を競い合うというものです。(最後に学生諸君には授業評価のアンケートにも回答してもらいました。)
 良質のファンタジーが一冊有ると、放課後の研究室が夢想の空間に変わります。今日もラルフ・イーザウの『暁の円卓』を読み進めました。第2巻では主人公のデービッドはオックスフォードのパブ「イシス亭」でふとしたことからトールキンと知り合います。(『指輪物語』を書くことになるトールキンですね。)現実から切り取った断片を虚構の物語の中に組み込んでいく手法がこの作者は得意なようです。