M君からいただいた修士論文を読み始めました。

takuzemi2010-08-10

朝は学習院大学大学院生のM君からいただいた修士論文「ジュルジュ・ペレック La Disparition研究」を読み始めました。ペレックのLa Disparitionはアルファベの「e」をまったく使わずに書かれたという特異な作品です。もっと早くに読み終えているべきだったのです。レポートの採点などの作業に追われて今日まで先のばしにしてしまいました。
 M君は数年前に私の研究室にやって来て「ベケットを一緒に読んでくれませんか?」と声を掛けてきたものでした。月曜日が「研究日」で授業がありません。そこで毎週月曜日に90分「ベケット読書会」を開催することにしました。もちろんフランス語の原書での読書会です。週に一回の楽しい時間を過ごしたものでした。
 M君は本腰を入れてフランス文学を勉強してみたいという決心を固めていったようです。アテネ・フランセにも通い始めて、語学力も私が驚くような上達ぶりでした。そして3年ほど前の夏休みのことだったでしょうか、「大学院の過去問を一緒に考えてください」と言って持ってきたのでした。
 東大、早稲田大学学習院大学のフランス文学(修士)の過去問はいずれもそれほど簡単なものではありませんでした。週に1回だった読書会のペースを多少とも増やして頑張った記憶があります。(私としては学習院大学の問題が一番面白みがあって好きでした。文学的センスが良いとでも言いましょうか。)一次試験の結果は素晴らしいものでした。どこを選ぼうかと迷ったM君の決心を固めさせてくれたのは学習院大学のC先生の「僕のところに来い」という一言だったようです。