「生産性が低いなあ・・・」と呟いてしまいました。

takuzemi2010-08-29

 午前中は原稿の草案を考えました。先ずはA4のオフィス用紙を横にして、一つのキーワードを巡るマインドマップを作成します。マインドマップが完成したら、それを元にして手書きの下書きを作ります。(下書きの方もA4の用紙を縦にして、横書きで走り書きします。自家製の下敷きも使っています。罫線が付いたものです。)下書きが書き上がったら、DELLのコンピュータを起動して、親指シフトのキーボードから打ち込んで、テキストファイルに加工します。完成したテキストファイルを「原稿クリエーター」で印刷して、赤ペンで修正します。漱石の言う「苦痛、快楽、器械的」な作業の連続です。毎日こんなことの繰り返しで、ほとほとうんざりしてきました。
 午前中はそれでも4時間ほど机に向かっていました。今日も1600字ほどの草案を書き上げました。我ながら、余り出来が良くはありません。「生産性が低いなあ・・・」と呟いてしまいました。今日は読書の方も余り気分が乗りません。余りの暑さ続きのために、さすがに疲れが溜まってきているのかも知れません。
 アラゴンの晩年の小説に『ブランシュまたは忘却』という不思議な作品があります。老いた言語学者の主人公ジョフロワ・ゲフィエが遠い昔に別れた妻ブランシュを回想するという内容です。アラゴン自身の過去の記憶が主人公ゲフィエの記憶として貸与されていて、アラゴンはゲフィエの目を通して「あり得たかも知れないもう一つの生」を夢想することができるわけですね。ランボーの詩の中にも「もう一つの生」(une autre vie)という言葉が出てきましたが・・・。こうした可能態としての生を浮かび上がらせてくれるのが、小説の醍醐味なのでしょう。