買い物から帰ってきたら、睡魔が襲ってきました。

 『ブランシュまたは忘却』に話を戻すと、主人公のゲフィエは老いのために昔の記憶の大きな部分を失っているんですね。昔の知人の名前が思い出せない。昔の出来事の細部も思い出せない。そこで記憶の欠落を、つまり忘却を想像で埋め合わせようとするのです。言ってみれば、遠いところから過去を回想することになります。こうした対象との大きな距離が対象そのものを変形してしまう。それが作者アラゴンの狙いでもあると思うのですが、対象の変形(記憶の変形)のうちに「嘘をつく、でっち上げる」という小説技法上の大きな問題が浮上してくるように思われるのですね。
 スーパーや本屋さんに出掛けるために短時間外出しただけで、猛烈な暑さにぐったりしてしまいます。今日は格別の暑さですね。買い物から帰ってきたら、睡魔が襲ってきました。和室で「長まって」過ごしました。ところが横になったら、意外と眠れません。仕方がないので、寝転がったままアラゴンの本を一時間ほど読んで過ごしました。
 午後の4時からはNHKテレビで「色付きの悪夢 カラーでよみがえる! 第二次世界大戦の記録」を見ました。ヒットラースターリンアウシュヴィッツ・・・などなどの貴重な映像を手際よく編集したドキュメンタリーの部分は最高の傑作でした。ところが、ドキュメンタリーの部分が終ると若いタレントさんたちが出てきて感想を語るのです。この感想が映像の重たさに比べて何ともちぐはぐなものでした。大きなギャップを感じてしまいました。