久し振りに卒業生のIさんにお会いすることができました。

 今日はフロベールの『ボヴァリー夫人』と『感情教育』について話をしました。工藤庸子先生はこの二つの作品について「愛の成就を拒否した反・恋愛小説だ」と断言しています。『ボヴァリー夫人』にはフランスの田舎町の月並みで凡庸な環境の中で不全感に耐えられなくなっていくエマ・ボヴァリーの生理が外科医のメスのようなフロベールの緻密な筆致でつづられています。息苦しくなるような作品です。
 『感情教育』にはフレデリックとアルヌー夫人の成就しない恋愛が見事に描き出されています。二人の最後の再会の場面はアラゴンの『ブランシュまたは忘却』の中にパロディーとして引用されていることもあり、大好きな作品です。楽しく80分ほど喋って授業を終えました。
 授業を終えて一息ついたら、目の前に意外な人の顔がありました。3月に卒業したIさんなのです。向かいの研究室のG先生のゼミ生だったIさんは、私の研究室にも良く遊びにきてくれました。今日は勤めている銀行がお休みなので大学に遊びにきたとのことです。学園祭では現役の学生諸君に交じってトランペットを演奏するとのことです。研究室に移動してお喋りを楽しみました。
 午後の研究室には今日は2人の学生諸君もやって来ました。小論文の書き方を指導してほしいというK君とその友人のやはりK君です。春学期の「英語研究基礎演習」のクラスでは毎回、重いスクリーンを教育支援課から4号館3階の教室まで運んでくれたコンビです。K君は作文の下書きをマインドマップにまとめてから文章を書いていました。しばらく二人の学生たちとのお喋りを楽しみました。