宮下志朗『読書の首都パリ』は研究室の本棚にもあります。

 12時30分からは文学部の国際交流委員会の会議が開催されました。司会は委員長のS先生です。30分ほどの間にいくつもの議題を手際よく片付けました。
 会議終了後の1時過ぎに学生食堂に移動しました。天麩羅蕎麦を食べて昼食にしました。研究室に戻って読書の続きに取り掛かりました。先程読んでいた『英仏文学戦記』の中で言及されていた宮下志朗『読書の首都パリ』(みすず書房)は研究室の本棚にもあります。「マンダランを殺せ」と題されたこの本の最終章を読んでみました。バルザックの『ゴリオ爺さん』に出てくる表現です。「かりに自分の念力だけで、パリから一歩も動かずに、中国の老大官(マンダラン)を殺せるとしても、もしそれと引き換えに金持ちになれるとしたらどうするか?」(平岡篤頼訳、少々書き換えました。)とラスティニャックが医学生のビアンションに問い掛ける場面に出てきます。謎の男ヴォートランの陰謀に加担するか、それとも拒否するかの分かれ目で思い悩むラスティニャックは結局、ヴォートランの陰謀を拒否することを選ぶのですね。
 フロベールの『ボヴァリー夫人』は重苦しい小説ですが、その重苦しさが楽しい小説です。バルザックの『ゴリオ爺さん』も現代の読者の平均値から見ると饒舌で読みにくい印象があります。けれども数人の中心的な人物たちの相関図を描いておけば意外に読みやすくなる本なのですね。地図を作りながら歩きまわっているうちに、バルザックの世界にはまってしまうかも知れません。