論文1本を書いて出版社のスイユ社に送ったと言います。

 筆記試験の後には面接が行われたそうです。日本人の面接官は2名、そのうちの1名は東京大学ランボー学者のN先生だったそうです。N先生はむしろ天使の役回りで、悪魔の役回りのもう一人の先生の鋭いツッコミが大変だったとのことでした。その後のフランス語の面接の言葉が聞き取れないところは何度も聞き直して真面目に答えたとのことです。それが良かったのでしょう。なんとかフランス政府給費留学生の試験をクリアしたのですから。
 M君はその間にも論文1本を書いて有名な出版社であるスイユ社に送ったと言います。ジョルジュ•ペレックとヌーボーロマンをめぐる関係を考察したものだそうです。スイユ社に原稿を送ったところ、 「ポエティック」という雑誌に掲載されることが決まったとのことです。研究者としては幸せな出だしではないでしょうか。
 上野で午後の7時まで飲んでから帰路に着きました。上野から武蔵浦和まで30分ほどですので楽な行程です。酔い心地にひたりながら電車に揺られているうちに私のテリトリーに着いてしまいました。駅ビルのお店で食品を少々買い求めて帰宅しました。
 M君のことを考えてみました。寡黙な性格です。それでも言葉の一つ一つが正確なのですね。言葉を選びながら一つの言葉を発してくるところは、まるでボクサーが狙いの一撃を送り出してくるような印象があります。パリではまだ余り「観光旅行」をするほどの余裕はないようです。けれども雑情報も大いに詰め込んで3年後にフランスから帰ってきてもらいたいものだと思いました。
 明日は能率手帳の整理から取り掛かろうと思っています。大きなイベントを先ずは書き込むことにしましょう。それから細かなTODOも書き込んでみましょう。ともあれ自分に出来る範囲の仕事を着実に片付けていくしかないのだと思います。「拙を守る」とでも言いましょうか。(写真はM君と別れた上野駅の光景です。JRに乗る私と日比谷線に乗るM君とで握手をして別れました。パリでの暮らしも元気で過ごしてください。)